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インボイス(適格請求書)制度が10月に始まるが、
小規模の事業者や経理の現場では不安や混乱の声が絶えない。
消費税をめぐる歴史的な制度変更は円滑に進むのか。
「岸田(文雄)総理は、54万を超えるインボイス反対の思いを
ぜひ適切に受け止め、対処していただきたい」
「インボイス制度を考えるフリーランスの会」の小泉なつみさんらが29日、
オンラインで集めた署名入りのUSBメモリーを岸田首相の秘書に手渡し、
そう訴えた。
署名は、署名サイト「change.org」の国内最多となる約54万筆に達したという。
会は25日夜、首相官邸前で集会を開いた。
配達員や酪農家、文筆家、英会話教室の講師らがマイクを握り、
2時間にわたって「弱い者いじめのインボイス制度をやめろ」
「日本の文化やインフラを破壊する」などと訴えた。
小泉さんは「不安を解消するには、中止か延期しかない」と話す。
28日には、個人タクシー運転手ら約300人でつくる
「東京個人タクシー労働組合」が東京都内で記者会見を開き、
「個人タクシーはインボイスによって壊滅状態に追い込まれる可能性もある」
と中止を求めた。
個人タクシー運転手の多くは年間売り上げ1千万円以下の免税事業者。
秋山芳晴執行委員長によると、年間売り上げが400万円の運転手が、
インボイスを発行するために課税事業者になると、
緩和措置を踏まえても8万円の税負担が生じる見込み。
業界団体の方針で、免税事業者のままだとタクシーの屋根に載せる
「あんどん」をこれまでとは色や形状が異なるものに
変更しなければならないという。
「高齢の運転手も多い。もうやめてしまおうと考える人も出るだろう」
東京都個人タクシー協同組合によると、
所属する個人タクシー運転手5472人(8月末現在)のほぼすべてが
免税事業者だったが、多くが課税事業者に転換。
一方で、免税事業者のまま10月1日を迎える見込みの運転手も12人いるという。
免税事業者のままだとインボイスが発行できずに取引から排除されたり、
取引価格の値下げを求められたりするという懸念が根強い。
一方で課税事業者に転換すれば、納税義務が生じ、事務や経理の負担も増す可能性がある。