全国各地で大規模な建設工事がストップするケースが相次いでいる。
資材価格高騰のほか、長時間労働の上限規制による「2024年問題」で
人件費が上昇していることが要因だ。
市民生活に影響の大きい施設が建設中止になるケースもあり、行政は対応に苦慮している
「どうして数か月で900億円も足りなくなるのか」。
昨年12月5日、東京都中野区議会の建設委員会。
傍聴席を埋め尽くす区民が見守る中、複合施設「中野サンプラザ」(2023年7月閉館)
跡地の再開発事業を巡って区議が事業者に詰め寄った。
様々なアーティストのライブが開かれてきた中野サンプラザは老朽化で解体が決定。
29年度には、7000人を収容可能なホールのほか、住宅、オフィスを備えた
高さ262メートルの施設に生まれ変わる計画だった。
区が選定した野村不動産を中心とする再開発事業者は昨年7月、
着工に必要な認可を都に申請した。
だが、そのわずか3か月後、工事費が想定していた2639億円を
900億円以上も上回ることが判明。
都への申請が取り下げられる異例の事態となった。
同社幹部はこの日、資材価格の高騰に加え、労働者の時間外労働規制による
労務費の上昇などを理由に挙げ、
「設備工事費が想定の3倍、エレベーター工事費が2倍に膨らんだ」と釈明した。
3月までに計画を見直す方針が示されたが、委員からは
「この先も工事費が高騰するのではないか」と厳しい意見が飛んだ。
一方、さいたま市では昨年11月、埼玉県などが10年近くにわたって
誘致を進めてきた順天堂大学の新病院建設計画が中止となった。
事業費が当初見込みの2・6倍にあたる2186億円に膨らんだことなどが理由だ。
新病院は、病床や医師の確保策の目玉だった。
大野元裕知事は12月6日の県議会で、
「県民の期待は大きく、中止になったのは大変残念」と述べた。
県によると今後の対応は未定という。
資材価格の高騰はコロナ禍からの需要回復やロシアのウクライナ侵略、
円安などを背景としている。日本建設業連合会によると、
今年1月の資材価格は21年1月と比べてアルミ地金が76%、
ステンレス鋼板が70%も上昇。
建設にかかるコストは16~20%(昨年12月時点)も上がった。
さらに、長時間労働の規制で建設現場の稼働率が落ち、
人手を確保するために人件費も上がっているという。
帝国データバンクの昨年10月の調査では、建設関連企業の約7割が
正社員が不足していると回答した。
あるゼネコンの担当者は、
「高度経済成長期に建てられたビルが建て替え時期を迎えているところに、
2024年問題やコロナ禍からの需要回復が重なった。
建設従事者が引っ張りだこで、賃金を上げないと大手でも集まりにくくなっている」
と明かす。
三菱商事は6日、秋田県沖と千葉県銚子市沖の計3海域で手がける洋上風力事業について、
2024年4~12月期連結決算(国際会計基準)に522億円の減損損失を
計上したと発表した。
物価高や円安で資材価格が高騰した影響が大きい。
このうち千葉の事業は今年1月の着工を予定していたが、延期する。
三菱商事は21年、政府が募集した洋上風力発電事業を落札した。
その際、政府想定を大幅に下回る、1キロ・ワット時あたり11・99~16・49円で
売電する計画を提示した。
だがその後の資材価格高騰で当初計画の見直しを迫られ、事業性を再評価することになった。
三菱商事と企業連合を組む中部電力も179億円の減損損失を計上した。
6日の決算記者会見で、中西勝也社長は
「地政学リスクやインフレの影響が押し寄せてきている。ゼロからもう一度見直す」
と説明した。
着工や運転開始の時期については「現時点では何とも申し上げられない」と述べるにとどめた。
海に囲まれた日本では、洋上風力が再生可能エネルギー拡大のカギと期待されるが、
欧米では資材高騰などの影響で事業縮小や撤退が相次いでいる。
経済産業省は、企業の撤退を防ぐため、入札時より資材価格などが上がった場合は、売電価格に一部転嫁できる制度を25年度以降に設ける方針だ。経産省は「事業の実現に向け、適切な対応を求めていく」としている。
警察によりますと、20日午後1時20分ごろ、佐賀県唐津市材木町の住宅で、
60代の住人女性から「若い男に手首を縛られて、お金をとられた。包丁を突きつけられた」と、
110番通報がありました。警察が20代くらいの男を追っています。
問者を装った男が押し入り、60代の女性が玄関で対応したところ家の中に連れ込まれました。
女性は粘着テープで手首などを縛られ「カネを出せ」などと脅され現金を奪われたということです。
同居する家族は外出中で、当時、女性は一人で家にいたということです。
女性にケガはありませんでした。
警察は強盗事件として逃げた男の行方を追っています。
男は20代くらいで、身長160センチから170センチくらいのやせ形で白っぽいジャンパーと
黒っぽい長ズボン、白っぽいマスクと手袋をつけていて黒っぽい野球帽をかぶっていました。
19日未明に大阪の新御堂筋で起きた死亡ひき逃げ事件で、
56歳のトラック運転手の男が逮捕されました。
警察によりますと、19日午前2時半すぎ、豊中市寺内の新御堂筋で
「北向き車線に人が倒れている」と110番通報がありました。
道路に倒れていたのは、市内に住む28歳の男性で、頭の骨を折るなどして、
搬送先の病院で死亡が確認されました。
警察は、現場の状況などからひき逃げ事件として捜査していましたが、
同日、兵庫県尼崎市に住む56歳のトラック運転手を、
過失運転致死やひき逃げの疑いで逮捕しました。
警察によりますと、当時男は業務中で、車両についていた傷と被害者の傷を
照らし合わせた結果などから逮捕に至ったということです。
男は警察の調べに対し、
「道路上の黒いものをひいてしまったが、人とは思っていなかった」
容疑を否認しているということです。
一方、大阪府吹田市でも19日午前7時すぎ、バイクが乗用車に追突され、
バイクを運転していた男性(33)が軽いけがをするひき逃げ事件がありました。
車はその場を去っていましたが、その後、大阪市内でガードレールにぶつかっていた
逃走車を警察が見つけて、運転者から話を聞いていました。
過失運転致傷やひき逃げの疑いで逮捕されたのは、47歳の女で、
停止中のバイクにぶつかり、転倒・けがさせたにもかかわらず、
逃走したなどの疑いがもたれています。
女は、追突の直前にも、当て逃げなど複数の事故を起こしていたとみられています。
フジテレビで放送している自社CMの出稿を差し止める動きが相次いでいる。
すでにトヨタ自動車、日本生命保険などが差し止めた。
タレントの中居正広さんが起こした女性とのトラブルに
フジテレビ幹部社員の関与があったと報じられた問題を受けての対応という。
関係者によると、トヨタと日本生命はスポンサーを務める番組でのCMを
公益社団法人ACジャパンのCMに差し替える。
日本生命は19日からの「千鳥の鬼レンチャン」と「Mr.サンデー」、
20日以降は「めざましテレビ」でも同様の対応をとるという。
明治安田生命保険は「フジテレビをめぐる一連の報道内容等を総合的に勘案し、
当面の間、同局で放映するCMを差し止める」と発表した。
アフラック生命保険もCMを差し止めるという。
この問題をめぐっては、フジテレビの港浩一社長が17日の記者会見で
「視聴者、関係者に多大なご心配をおかけしていること、
現在まで説明ができていなかったことについておわび申し上げる」と謝罪した。
第三者の弁護士を中心とした調査委員会を設け、同社社員の関与の有無などを調べるとしている。
厚生労働省は年金改革を巡り、年収798万円以上(賞与を除く)の会社員らが
支払う厚生年金の保険料を2027年9月から増額する方向で調整に入った。
現在の月5万9475円から約9000円増やす。
働く高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金」では26年4月に、
減額を始める基準額を現在の月50万円から62万円に引き上げる。
ともに24日召集の通常国会に提出予定の年金改革関連法案に盛り込む。
保険料増額は約168万人が対象で、増額した保険料を10年負担すれば、
老後に受け取る厚生年金は生涯にわたって月5000円ほど増える。
在職老齢年金の見直しは、高齢者の働き手を確保する狙いがある。
現在は給与と厚生年金の合計額が月50万円を超えると、
超過した分の半分の厚生年金が支給されないが、
合計額が月62万円までは厚生年金を満額で受け取れるようになる。
現在は約50万人が減額の対象となっているが、
このうち約20万人は満額で受け取れるようになる。
厚生年金の積立金を国民年金(基礎年金)の底上げに活用する改革案については、
景気が停滞した場合に限って実施するという経済条項を法案に盛り込む方向で
検討を進めている。
三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の金品が盗まれた事件で、
同行は16日、半沢淳一頭取ら役員5人の報酬減額処分を実施すると発表した。
半沢氏は3カ月間、月額報酬を30%減額する。
また、金品を盗まれた顧客が約60人から約70人に増え、被害総額は約14億円に上ると発表した。
役員処分は、堀直樹会長と、貸金庫を所管するリテール・デジタル部門長の
山本忠司常務執行役員が半沢氏と同じ月額報酬30%減額(3カ月)。
副責任者の山田直人常務執行役員と北村慎常務執行役員は月額報酬20%減額(3カ月)。
盗難被害の人数や金額はさらに増える可能性があるという。
三菱UFJ銀は被害者への補償を進めており、10日時点の補償額は約7億円(40件)。
政府の地震調査委員会は、南海トラフ巨大地震の今後30年以内の発生確率について、
これまで「70%から80%」としていたものを「80%程度」に引き上げました。
地震調査委員会は、プレートの境界や活断層で起きる地震の発生確率を毎年、
更新していて、先ほど、今年の計算結果を発表しました。
このうち、南海トラフ巨大地震の今後30年以内の発生確率について、
去年(2024年)まで「70%から80%」としていましたが、「80%程度」に引き上げました。
これについて、地震調査委員会は「想定された地震が発生しない限り、
発生確率は時間の経過とともに高くなる傾向にある。
発生する可能性が急に増したわけではなく、
おとといや去年8月に日向灘で地震が発生したこととも関係がない」
と説明しています。
そのうえで、平田直委員長は「80%程度というのは、いつ地震が起きても
不思議はないという数字だ。引き続き、いつ地震が起きてもいいように備えていただきたい」
と述べました。
東京都の小池百合子知事は14日、中間層が手頃な価格で確保できる
「アフォーダブル住宅」の普及を支援するため、ファンドを創設すると表明した。
都と民間で100億円ずつ出資し、計200億円規模での組成を目指す。
都内の住宅価格が高騰する中、小池氏は「住宅の確保が極めて重要だ」
と対策の必要性を強調した。
関連予算を2025年度当初予算案に盛り込む。
都心部の住宅価格が高騰する中、広い住宅を確保しにくいとして、
子育て世代が都外に流出する傾向が強まっており、問題となっていた。
都は25年度中にファンドを組成し、26年度中の住宅供給を目指す。
都は新ファンドについて、子育て支援、ひとり親支援、空き家活用といった目的ごとに
複数創設することを想定。
アフォーダブル住宅の整備や運営を行う事業者の取り組みに、資金を充てる。
学校の制服代や給食費が払えないなど、ほとんどの人が持っているものを
持てない状況「相対的貧困」。
すぐに命の危険があるような「絶対的貧困」に対して、
一般世帯の所得の水準以下で生活を送ることによる貧困を指す。
2021年の国の調査では「相対的貧困率」は15・4%で、子どもの貧困率は11・5%。
およそ9人に1人の子どもが日常生活や健康、学業などさまざまな「貧しさ」に直面している。
しかし、見た目では分からないことや、羞恥心などから若者の貧困問題は発覚しにくい。
現場の生の声から実態を報告する。
「外食は我慢してなるべく自炊している。お金がない時はご飯にふりかけをかけたり、
もやしだけ食べたりしたこともある」。
千葉県内の公立定時制高校に通う3年の男子生徒(17)は質素な生活ぶりを打ち明ける。
家庭の事情で1人暮らしをする中、家賃や光熱費は親が支払ってくれるが、
携帯電話代など生活費はアルバイトを2つ掛け持ちしながら払う。
特にありがたいのは学校の給食。
夏休みなど長期休みに入ると給食が食べられなくなるので
「毎日カツカツ。欲を言うと学校に行きたいぐらい」と苦笑する。
朝ご飯は食べず基本的に1日2食で、少しでも安い洗剤などの商品を求めて
複数のスーパーを巡ることも。
それでも、夜は授業や部活に加え、生徒会活動にも励んでいる努力家だ。
船橋市内で開かれた食品配布会で菓子やジュースを受け取っていた
別の公立高校に通う3年の女子生徒(18)は、来春の大学進学に向けて勉強中だ。
この日もこれからアルバイトだといい
「大学の入学金も気になるし、親からは奨学金を借りてねと言われている。
返していけるのかは正直心配」と吐露する。
しかし、スマホを持ち、明るく話す様子はいたって普通の高校生。
2人とも、見た目だけでは苦労が分かりにくい。
2024年度の「千葉県こどもの生活実態調査」などの結果によれば、
低所得や家計のひっぱくなどの生活困難を抱える子育て家庭の割合は22・5%。
これらの家庭のこどもは、自己肯定感や健康状態などが他の家庭に比べて
低い傾向にあるなど、貧困が子どもに与える影響は依然として深刻な状況にあるという。
2024年6月に成立した「改正子どもの貧困対策推進法」には、
貧困によって適切な養育・教育・医療、多様な体験の機会を奪われないようにすることが
明記された。
しかし、支援の現場からは、相対的貧困の実体把握の難しさから、
行政側がどれだけ実効性のある対策に踏み込めるか疑問視する声も上がる。