公的医療保険で受診時に使う現行の健康保険証が廃止(新規発行停止)
される12月2日まで残り1カ月となった。
マイナンバーカードに保険証機能を持たせたマイナ保険証が後継となるが、
利用率は低迷が続く。
政府は、発行済みの保険証が最長1年使えるほか、
保険証代わりの「資格確認書」を送るなど代替手段があることを強調。
福岡資麿厚生労働相は1日の記者会見で「国民の不安解消に向け丁寧な対策を行う」
と述べた。
マイナ保険証を使うには、まずマイナカードを取得し利用登録する必要がある。
医療機関で顔認証付きカードリーダーなどにかざし、保険加入情報を読み取る。
政府は「本人の同意があれば診療履歴も閲覧でき、適切な治療につながる」と訴える。
ただ利用率は9月時点で13.87%。マイナンバーを巡る情報のひも付け誤りで
高まった不信感が要因とみられる。
現行保険証が使えなくなるまでには猶予期間があり、
有効期限内なら2025年12月1日まで使える。
会社員が入る健康保険組合は無期限が多く、同日まで有効だ。
自民党執行部は31日、萩生田光一元政調会長と平沢勝栄元復興相を
「党所属国会議員」の扱いとしないよう党内に指示した。
派閥裏金問題に関わった両氏は衆院選で公認を得られず、無所属で当選。
しかし、自民の衆院会派に同日入ったため、ルール上は「党所属国会議員」となるはずだった。
党執行部は非公認議員を公認議員と同様の位置付けにすれば
世論の批判を浴びかねないと懸念し、異例の対応を取ることにしたとみられる。
自民内では(1)党籍を保有(2)衆参両院の自民会派に所属―する場合に
「党所属国会議員」として扱うのがルール。
萩生田、平沢両氏は党役職停止1年の処分を受けているが、党籍は保持している。
さらに党執行部の要請を受けて31日に会派入りしたため、形式上は2要件を満たす形となった。
世耕弘成、西村康稔両氏も同時に会派入りしたが、
離党勧告と党員資格停止の処分を受けているため、「党所属国会議員」とはならない。
「党所属国会議員」として扱われなければ、
総裁選で出馬したり議員として投票したりできず、党大会の構成員にもなれない。
党内からはやむを得ないとの意見の一方、
「ルールを守らない党になってしまった」(関係者)と困惑する声も出ている。
電力大手10社は30日、11月使用分(12月請求分)の電気料金が、
標準的な家庭で前月比513~650円値上がりすると発表した。
政府が酷暑対策で行っている電気・ガス代の補助金支給が
10月使用分で全て終わるためで、東京電力では608円高い8868円となる。
東京ガスなど都市ガス大手4社のガス料金も前月比209~274円値上がりする。
補助金は、ロシアのウクライナ侵攻後の燃料価格高騰を受け、
激変緩和措置として2023年1月に開始。今年5月にいったん終了した後、
岸田文雄前政権が8~10月の3カ月に限って再開することを決めた。
財源には物価高騰対策の予備費を充てた。
10月の電気の補助額は1キロワット時当たり2.5円。
標準的な使用量は会社ごとに異なるが、
補助終了はそれぞれ575~650円の押し上げ要因になる。
これにより北海道電力の料金は513円高の9491円、関西電力は650円高の7664円となる。
政府は11月をめどに総合経済対策をまとめる方針で、電気・ガス代などの
高騰に関する支援策も検討される見通し。
11月11日に召集される見通しの特別国会では首相指名選挙が実施される。
衆院選で敗北して過半数を割った自民、公明両党は
一部野党の協力を得るなどしなければ、石破茂首相(自民総裁)を
新首相に指名することはできない。
首相指名選挙で現時点では与野党とも衆院の過半数に届かず、
30年ぶりの決選投票にもつれこむ公算が大きくなっている。
衆院選では自民、公明両党を合わせても215議席しか獲得できず、
過半数の233まで18議席足りない。
保守系無所属を含めても届かないため、自民は28議席を獲得した
国民民主党に期待を寄せるが、
玉木雄一郎代表は首相指名選挙で自らの名前を書くと表明した。
与党の「補完勢力」とやゆされてきた日本維新の会は議席を減らし、
馬場伸幸代表の責任を問う声が党内から上がる「内紛」状態で、方針が定まっていない。
首相指名選挙では、有効投票の過半数を得た議員が首相に指名される。
1回目の投票で過半数を得た議員がいない場合、上位2人の決選投票となる。
衆院規則は、決選投票では「過半数を得た者」ではなく「多数を得た者」と規定しており、
多数派を形成すれば勝利できる。
衆院の首相指名選挙で決選投票が行われた例は過去に4例ある。
直近の例が1994年だ。
少数与党だった非自民連立の羽田孜内閣が総辞職したことを受け、
当時野党だった自民が、社会党、新党さきがけとともに
村山富市・社会党委員長(当時)を首相候補に擁立。
非自民連立側の新生党や公明党などは、自民を離党した海部俊樹元首相を立てた。
1回目の投票では村山、海部両氏とも過半数に達せず、決選投票で村山氏が選出され、
自社さ3党による連立政権が誕生した。
79年には、衆院選で自民が過半数割れの敗北を喫したことから、
当時の自民派閥の福田、三木、中曽根の各派などが大平正芳首相(当時)の退陣を要求し、
「40日抗争」が始まった。
大平氏と、非主流派が擁立した福田赳夫氏の自民2人が首相指名を争う異常事態となり、
決選投票の結果、大平氏が17票差で選出された。
53年には、自由党の吉田茂氏が特別国会の首相指名選挙で過半数を獲得できず、
決選投票で改進党の重光葵氏を破り、首相に指名されている。
48年には、吉田氏と社会党の片山哲氏による決選投票で、吉田氏が指名された。
自民党の小泉進次郎氏が28日、選対委員長を辞任したのは、
党執行部の誰かが与党過半数割れの責任を取らなければ、
石破茂政権が批判に耐え切れず、退陣は避けられないとの危機感を抱いたからだ。
小泉氏は首相と森山裕幹事長に慰留されたが、振り切った。
衆院選の大勢が判明した28日未明、小泉氏は党本部の一室で、首相と森山氏と向き合った。
大敗を受け辞任する考えを伝えた小泉氏に対し、首相と森山氏は翻意を促した。
だが、小泉氏の意思は固かった。
「それでも私が辞めなければ政権が持ちませんよ」
党内では与党の過半数割れを受け、小泉氏の辞任▽森山、
小泉両氏の辞任▽首相退陣―の3つの引責案が取り沙汰された。
小泉氏は27日夜のテレビ番組で「いかなる形であろうと私が責任をとる」と語った。
首相らは執行部の枠組み維持を説いたが、小泉氏は自身が責任を取ることで、
政権への打撃を最小限に抑えられると主張。
首相らは最終的に慰留を断念し、辞表を受理した。
小泉氏は28日、記者団に「選対委員長が責任を取るのは最低限必要なことだ」
と辞任の理由を説明した。
ただ、首相や執行部への批判はやんでいない。
与党過半数割れは平成21年以来で、党幹部の一人は
「1人が腹を切って済む話ではない」と漏らす。
小泉氏に近い中堅議員は「(首相らへの)恨みはみんな持っている。
『石破おろし』が始まるだろう」と語った。
第50回衆院選は、メディア各社の開票速報によると、
有権者は自公政権に対し、厳しい審判を下したようだ。
「自民党派閥のパーティー収入不記載事件」を受け、
選挙戦では「政治とカネ」の問題に関心が高まった。
与党が勝敗ライン「自公で過半数(233議席)」を下回る
見通しとなったことで、永田町は今後、波乱含みの政局に突入しそうな気配である。
まず注目されるのは、石破茂首相(自民党総裁)が引責辞任するかどうかだ。
1980年代以降の短命政権は、1994年に非自民連立で首相となった
羽田孜(つとむ)政権の64日、1989年にリクルート問題で退陣した
竹下政権の後を継いだ宇野宗佑(そうすけ)政権の69日がある。
石破退陣となれば、これを上回る、たった1か月の超短命政権となる。
もっとも、石破氏が即座に辞任するかどうかは微妙だ。
そもそも自民党への逆風は、前の岸田政権から続くもので、
さらに言えば「不記載事件」は、旧安倍派が震源地だった。
自分一人にその責任を押しつけられるのは石破氏としては不本意だろう。
党内に「石破おろし」の動きが起きるかもしれないが、
首相指名選挙を行う特別国会は11月7日召集の見通しである。
それまでの短期間に「石破おろし」の動きが自民党内でうねりをあげそうにはない。
本来、「反石破」の旗振り役になる可能性があった旧安倍派の
「裏金議員」の多くは落選の見込みが濃厚だ。
円安などの影響で物価が上がる一方、賃金の伸びは鈍く、
苦しい生活を強いられる人も少なくない。
27日投開票の衆院選で、各党は将来の賃上げなどの経済対策を
公約として打ち出しているが、現在困窮している人からは、
速やかな支援拡充を求める悲痛な声が上がる。
東京都新宿区の都庁前では12日、配布される食料を求め705人が並んだ。
2020年から毎週配布を続けるNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」
(新宿区)の大西連理事長(37)は
「かつては野宿者が中心だったが、収入があっても生活が苦しい人が増えた」
と指摘した上で、「生活保護手前の人たちへの支援が足りない」と国に対応を求めた。
幾重にも折り返した列の中にいた世田谷区の志垣祐介さん(29)は現在求職中だ。
「高卒で働き始めたが、次第に生活が苦しくなった。米やコーヒーなどが買うたび高くなる」
と物価高を痛感している。
「日々の生活で精いっぱい。貯金や結婚なんて考えられない」と表情を曇らせた。
同じく列に並んだ豊島区の無職男性(60)は病気で退職後、生活保護に頼っている。
「食費も光熱費も上がるのに生活保護の受給額は増えない」と嘆き、
「福祉政策は後回しにされ続けてきた。政府は貧困を見て見ぬふりだ」と憤った。
1人親家庭の状況も深刻だ。秋田県内で中学生の子どもを育てる30代の女性会社員は離婚後、
頼れる人もなく、子どもが幼いころは満足に働けずに雑草を食べたことも。
その後、収入は安定したが、行政の支援はほとんどなくなる一方で、
生活費や税金などは増え、苦境は変わらないまま。
「子どもに十分な生活と教育を保障してほしい」と訴えた。
母子世帯などを支援するNPO法人「キッズドア」(中央区)が
5、6月に全国の支援家庭を対象にしたアンケート調査では、
約1800件の回答のうち、この1年間で家計が「厳しくなった」という世帯が98%を占めた。
「子どもが常におなかを空かせている」などと窮状を訴える声もあった。
同法人の渡辺由美子理事長は
「低所得層を支援するだけではこぼれ落ちる人がいる。
全ての子どもを助ける政策を最優先に行ってほしい」と話した。
首都圏を中心に相次ぐ闇バイト強盗で、
警察庁が18日に加担しないよう注意を促す動画を発信して以降、
警察当局が少なくとも3人を保護したことが警察庁への取材で判明した。
警察庁によると、1人はSNSを通じて求人情報に応募。
指示役に犯罪行為を指示されたので拒否したところ、
送信していた個人情報を元に脅迫された。
警察への相談を呼びかけたX(ツイッター)での動画を紹介する報道を目にしており、
23日に警察相談専用電話「♯9110」に相談して保護に至った。
このほかにも2人が保護されたという。
警察庁は18日、阿波拓洋・生活安全企画課長がXで
「警察は相談を受けたあなたや家族を確実に保護します。
安心して、勇気を持って今すぐ引き返して」と呼びかけていた。
幹部がSNSで直接呼びかける新しい取り組みで、
25日には動画投稿サイト「ユーチューブ」でも
「(実行役らの)取り調べにより、犯罪実行者を募集する手口が
明らかになってきています。この種の求人には決して応募しないで」と注意喚起した。
27日に迫った衆議院選挙で多くの政党が訴える最低賃金1500円への
引き上げについて、企業の間に戸惑いが広がっている。
これまで物価上昇を上回る賃上げを目指す政府に産業界は足並みを揃えてきたが、
2020年代の実現を目指す自民党を含め具体策を示す党はなく、拙速さを批判する声が聞かれる。
最低賃金は毎年10月に改定されており、
今年の引き上げ幅は全国平均で過去最大の51円。
商品の値上げが相次ぐ中、経済の好循環を目指した岸田文雄政権(当時)の下で
今夏に平均時給1055円とすることが決まった。
今年の上げ幅に対しても企業、特に中小の事業者からは厳しさを訴える声が出ていたが、
今月1日に就任した石破茂首相が20年代に1500円を目指すと初会見で明らかにすると
波紋が広がった。
これまで政府が目指していた30年代半ばから、達成時期が前倒しされた。
日本商工会議所の小林健会頭は3日の会見で、
「中小企業は払えなくて人(従業員)を手放してしまう。
人を手放すとオペレートができないので事業をたたむ、
あるいは倒産することが起きかねない」と語り、中小企業の窮状を訴えた。
日本の雇用の7割を占める中小企業の多くは賃上げですでに人件費の負担が増し、
光熱費なども上昇、
コロナ禍で一時的に手厚くなった公的支援もなくなり倒産件数が高水準で推移している。
「今の最低賃金1000円でも厳しいのに、
1500円になったら我々のような中小にはさらに厳しい状況になる」と、
神奈川県内にあるスーパーマーケットチェーン、ビッグヨーサンで働く男性は話す。
石破首相が掲げた最低賃金1500円への引き上げは、
達成時期に違いはあるものの、27日に投開票を迎える衆院選で連立与党の公明党、
最大野党の立憲民主党など多くの党が公約に取り入れた。
しかし、さらなる負担をどう政府が支援するのか、
中小による価格転嫁をどのように実現するかなど詳細は示されておらず、
どの党が政権を取っても課題は多い。
日本経済団体連合会の十倉雅和会長は22日の会見で、
「2020年代に達成しようと思えば、毎年7.3%、
3年間での達成であれば毎年12%程度の引き上げが必要になる。
できるだけ上げていこうという取り組みは大事だが、あまり乱暴な議論はすべきでない」
と語った。
とはいえ、国際的な比較で見ると日本の最低賃金は主要7カ国(G7)を大きく下回っている。
9月現在で米国は2400円(ワシントン州)、オーストラリアは2395円、
英国は2214円。日本の1055円は韓国の1108円よりも低い。
日本の最低賃金はあくまで全国の平均値で、
47都道府県の中で最低額の秋田県は951円にとどまっている。
最高額1163円の東京都など大都市と地方の格差は拡大傾向にある。
労働者側は各党の公約よりも早期の引き上げを求めている。
全国労働組合総連合はただちに一律1500円とすることを求め、
いずれは1700円への引き上げを主張している。
2000年代の最低賃金の引き上げ額を見ると、
年によってゼロ円や1円など10円以下という年が複数回あった。
当時は最低賃金が700円超かそれ以下で推移しており、
長く続くデフレの要因だった。
「まさか1000円を超えて1500円を目指す時が来るなんて思いもしなかった」
と、労組の関係者は言う。
経済同友会の新浪剛史代表幹事は18日の会見で、
「最低賃金が今後上がっていくという予見の中で経営ができない企業は退出する。
それを払える企業に人が移るほうが、人びとの生活は向上する」と話し、
最低賃金1500円の引き上げ方針を支持する考えを示した。
野村総研の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、
20年代に1500円を達成するのはペースが速いと指摘する。
一方で、「日本の最低賃金は他国と比べると非常に低く、
格差縮小の観点からも引き上げていくべきだという議論の余地がある」と述べ、
政府が中小企業の生産性向上を支援する必要があると話す。
23日の外国為替市場で円安が加速し円相場は一時1ドル=153円台まで下落しました。
153円台をつけるのは7月31日以来、およそ3か月ぶりです。
アメリカでは底堅い景気を背景に中央銀行にあたるFRBが利下げを行う
ペースが緩やかになるのでは、との見方が広がっています。
このため日米の金利差の拡大が意識されドルを買って円を売る動きが強まりました。
また、投票まで2週間に迫ったアメリカ大統領選をめぐって、
トランプ氏の勢いが増し、大統領選後にドル高が進むとの観測も、
円安が進んでいる要因とみられています。
円相場はドルに対し23日だけで2円以上、今月だけで10円ほど円安が進んでいます。