石破茂首相は2日、日本銀行の植田和男総裁と首相官邸で初めて会談した。
首相は会談後、報道陣に
「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と語り、
日銀による利上げに慎重な姿勢を示した。
その上で「緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展し、
デフレ脱却に向けて経済が推移することを期待していると総裁に申し上げた」と述べた。
首相は追加利上げに理解があるとの見方もあるが、この点について
「私自身として、そのようなことを考えているわけでは全くない」とも強調した。
一方の植田氏は、報道陣に対して、経済・物価が想定通りに進めば、
利上げを検討する考えを首相に伝えたと明かした。
その上で「見極めるための時間は十分あると考えているので、丁寧に見ていきたい」と話したという。
フリーランスで働く人を保護する「フリーランス新法」の施行に向け、
公正取引委員会が1日、違反行為の是正勧告や命令を出す際、
事業者名や違反内容などを公表すると発表した。
違反行為の未然防止を図るという。
フリーランスは企業などに雇用されず、1人で仕事を受注する働き方。
内閣官房の2020年の調査では、国内に推計462万人いる。
新法は、公取委が所管する「不利な取引の是正」と、
厚生労働省が所管する「育児や介護と仕事の両立などを可能にする環境整備」
の2本柱からなり、11月1日に施行される。
取引については、発注者は契約時に業務内容や報酬額、
支払期日などを書面やメールで明示することが義務付けられ、
不当に給付を拒否したり、報酬額を減らしたりすることなどが禁じられる。
公取委は、違反した事業者に是正と受託事業者の不利益の原状回復を勧告し、
対応しない場合は命令するという。
公取委が違反行為をした事業者に勧告や命令を出す場合、
その内容とともに事業者名も公表する方針。
違反行為を明確に示すことで、被害を防ぐ狙いがあるという。
9月下旬の国連総会一般討論演説に合わせ、
安全保障理事会が同25日にロシアによるウクライナ侵攻と
パレスチナ自治区ガザの戦闘を併せて協議する「国際秩序」首脳級会合を開催する
方向で調整していることが17日、分かった。
外交筋が明らかにした。
両紛争の当事国トップが顔をそろえる異例の機会になると期待されている。
安保理会合は理事国以外の関係国も参加可能で、
ウクライナのゼレンスキー大統領は出席の意向。
9月の議長国スロベニアは、イスラエルのネタニヤフ首相や、
イスラム組織ハマスを支援するイランのペゼシュキアン大統領にも出席を促している。
外交筋は「当事国も交えて国際的危機に対処できるのは安保理しかない。
首脳級同士が直接意見を交わすことが解決の糸口になる」と語った。
安保理では、ウクライナ侵攻でロシアを非難する決議案にロシアが拒否権を行使。
ガザ情勢ではイスラエルを擁護する米国が、
無条件での即時停戦を求める決議案などに拒否権を使ってきた。
「安保理の機能不全」との批判が各国から出ている。
8月8日に発生した宮崎県日向灘を震源とする地震では、
宮崎県内で水道管の破損や断水が報告された
。翌日の神奈川県西部を震源とする地震でも、一部の地域で断水した。
年明けに震災に見舞われた能登では、多くの水道管が破損し断水が長期化している。
相次ぐ地震で水道の問題が浮き彫りになったが、水道管の劣化や、
進まない耐震化など、日本全土における水道の脆弱性はこれまでも指摘されてきた。
しかし水道管の耐震化を進めるにしても、人口減により水道収入も減少しており、
多くの自治体で水道料金の値上げが必要とされている。
これから日本の水道の安全性をどう担保するのか。
現状と、未来へ向けた取り組みを取材した。
能登半島地震発生から約半年。能登半島の最北端に位置する石川県珠洲市では
上下水道の被害が著しい。
半年経った今でも、様々な場所に仮設トイレが設置されている光景が目に留まる。
懸命な復旧作業が行われ、5月31日に断水解消が発表されたが、
あくまでも珠洲市と輪島市の早期復旧困難地区の1471戸(6月24日時点)を除いての復旧だ。
倒壊した建物や土砂崩れの痕がまだ残っている中、
水道の復旧作業まで手が回らず、復旧のめどが立っていない。
2023年7月に珠洲市にコワーキングスペース兼ビジネス交流拠点を開設した伊藤紗恵氏は、
水道の完全復旧には「まだまだ時間がかかりそうだ」と話す。
「震災前に私たちが運営していた珠洲市の拠点は取り壊す予定です。
町には避難所から戻ってきている人も少しずつ増えていますが、
家の中の水道管が切れてしまっているという話をよく聞きます。
5月末時点では、近所の方からも配水管が切れているため井戸水を使っているとか、
飲食店を再開したいものの水道が直っていないので営業許可が下りないといった話を
耳にしました。
特に下水の復旧がまだと聞いていて、仮設トイレを設置している場所も多くあります。
そもそも、取り壊そうとしている家が多いので、水の復旧だけが問題ではありませんが」
今回の地震では、珠洲市の9割の世帯に水の供給を行う宝立浄水場が被災した。
取水管が破断したことに加え、総延長243キロメートルに及ぶパイプの多くの箇所で破損があった。
家屋の倒壊や土砂崩れにより寸断された道路の復旧が遅れた影響で、
水道管の修繕が進まなかったといわれる。
清水浄水場は、土砂崩れの影響でたどり着くのが難しく、6月末時点では復旧していない。
また、水道管が復旧した地域でも、家屋内のパイプ破損で実際に水道が使える家庭は
半分ほどともいわれる。
また、市民の約半数が公共下水道が整備された地域で暮らしていたが、
地震により市内の下水管の94%が被害を受けた。
東日本大震災や熊本地震では約30%の被害といわれており、被害の大きさがうかがえる。
さらに浄化槽でも亀裂が入るなど、排水処理の問題は大きい。
これは能登半島だけの問題ではない。水ジャーナリストの橋本淳司氏は水道管の劣化や、
進まない耐震化による、日本全土における水道の脆弱性を指摘する。
「多くの水道管が経年劣化でボロボロになってきています。
法定耐用年数を超えた管路は2021年度時点で22.1%。
そして、上水道の漏水・破損は年間2万件以上、
下水道の破損に起因する道路陥没は年間2600件も発生している状況です。
お金と人手が足りず、対応が進んでいないのです。
また、耐震化も進んでおらず、送水管や配水本管(給水管を分岐しない配水管)といった、
水道を支える重要な基幹管路の耐震化状況は2022年度末時点の全国平均で42.3%。
地震の揺れに強い耐震管の普及率が低いうえ、
土砂災害警戒区域内に位置しながらも土砂災害対策が実施されていない水道施設も
まだ多くあります。
全国にある水道施設のうち、土砂災害発生時に1日平均給水量以上の給水が確保できない
水道施設は2068施設と、全体の10%を占めている(※2019年時点)のです。
2024年1月の能登半島地震でも、断水は解消したものの、
長期で水道が復旧しないとされている地域も一部あります。
その中には、液状化によって到達できなくなっている浄水場なども含まれているのです。
自分が住んでいる地域で今は断水していないだけで、
いつどこで能登のような状況になってもおかしくない状況にあるといえます」
日本の上水道普及率は2022年3月末時点で約98%(簡易水道、専用水道を含む)、
下水道普及率は約80%と広範囲でカバーされている。
一方で、今回の震災で露呈したように、災害に強いとは言い難い一面もあり、
災害に備えて設備を更新するのにも膨大な費用が必要となる。
2024年4月24日に発表された、コンサルティング企業EY Japanと
水の安全保障戦略機構の最新の共同研究結果
「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(2024版)」によると、
2046年度までに水道料金の値上げが必要と推測されるのは、
全体の約96%となる1199事業体。
また、約4割は今後3年以内(2026年度まで)に値上げが必要と考えられている。
15日午後8時20分ごろ、神奈川県で最大震度4を観測するやや強い地震がありました。
気象庁によりますと、震源地は神奈川県西部で、
震源の深さはおよそ10km、地震の規模を示すマグニチュードは4.4と推定されます。
この地震による津波の心配はありません。
最大震度4を観測したのは、神奈川県の中井町です。
【各地の震度詳細】
■震度4
□神奈川県
中井町
■震度3
□神奈川県
相模原緑区 小田原市 秦野市
厚木市 伊勢原市 神奈川大井町
松田町 山北町 愛川町
清川村 平塚市
米労働省が14日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、
前年同月比2.9%上昇した。
伸び率は前月(3.0%)から縮小し、4カ月連続で鈍化。
2021年3月以来3年超ぶりに3%を割り込んだ。
市場予想も下回り、インフレの鈍化基調が続いていることが確認された。
変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比3.2%上昇。
伸び率は前月(3.3%)から縮小した。
インフレ圧力の緩和を受け、市場では連邦準備制度理事会(FRB)が
9月の次回金融政策会合で利下げを決めることが確実視されており、
焦点は利下げ幅となっている。
8日に発生した日向灘を震源とする最大震度6弱の地震に伴い、
「巨大地震注意」の南海トラフ地震臨時情報が発表されてから
およそ5日が経過しました。
気象庁は先ほど、この地震について情報を更新し、
「プレートの状態の変化を示すような通常とは異なる地殻変動は観測されていない」
として、巨大地震発生の可能性に変化はないと明らかにしました。
この地震に連動して別の巨大地震が発生する可能性は普段よりも
高い状態が続いていますが、
8日夜の時点から高まっているわけではありません。
南海トラフ地震の想定震源域などでは、8日の震度6弱が発生したあと、
きょう正午までに震度1以上の地震はあわせて23回観測されていますが、
きのう午前7時前を最後に24時間以上発生しておらず、
地震活動は徐々に減衰しているということです。
一方、8日の地震発生の前と比べれば活発な状態だとして、
揺れが強かった地域では引き続き、
最大震度6弱程度の非常に強い揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。
気象庁と内閣府は、関東の太平洋側から沖縄にかけての南海トラフ巨大地震で
被害が想定されているエリアでは、
揺れや津波への備えの確認や自治体などの呼びかけに応じた
防災対応などを続けるよう呼びかけています。
こうした対応の呼びかけは、
このまま地震活動や地殻変動に変化が観測されなければ、
あさって午後5時で終了する予定です。
気象庁は12日、宮崎県で最大震度6弱を観測した地震の後、
南海トラフ地震の想定震源域内で観測された震度1以上の地震は、
11日の発表から2回増え23回になったと発表した。
同庁は8日、同地震の「臨時情報(巨大地震注意)」を発表。
その後、同地震に関連するプレート境界の固着状態に特段の変化は観測されていない。
内閣府の防災担当者によると、このまま地震活動や地殻変動に変化が見られなければ、
15日午後5時で同情報の呼び掛けを終了する予定。
台風5号が東北に接近中だ。
きょう11日(日・山の日)午後は東北で激しい雷雨となり、風はさらに強まる見通し。
あす12日(月・振休)朝には東北にかなり接近し、
昼前には宮城県、または岩手県に上陸するおそれがある。
なお、きょう11日(日)夜からあす12日(月)午前にかけては
青森県、岩手県、宮城県に線状降水帯が発生し、
総雨量は平年の8月1か月分の降水量を大きく超える記録的な大雨となるおそれがある。
きょう11日(日)午前9時現在、
台風5号は宮城県石巻市の東南東約290キロメートルにあって、
1時間に15キロメートルと自転車並みの速度で北北西に進んでいる。
福島県から岩手県の沿岸の一部が強風域に入り、
盛岡では午前9時前に最大瞬間風速16.5メートルを観測するなど、風が強まってきている。
台風5号はこのあとゆっくりと北西方向に進む見通し。
あす12日(月)朝には東北にかなり接近し、昼前には宮城県、または岩手県に上陸するおそれがある。
なお、東北に台風が上陸するのは2021年に台風8号が宮城県に上陸して以来、
3年ぶりのこととなる。
きょう11日(日)は台風周辺の雨雲が東北の太平洋側を中心にかかり、
午後は局地的に激しい雷雨となる見通し。
風はさらに強まり、最大瞬間風速は東北で35メートルの予想だ。
飛ばされやすい物は家に中に片付けたり、しっかりと固定したりするなどの対策が必要。
窓の補強なども済ませておきたい。
あす12日(月)に日付が変わるとさらに風が強まり始め、台風本体の雨雲もかかる見通し。
台風が最も接近するあす12日(月)明け方から夜にかけてが大雨や暴風のピークとなりそうだ。
台風5号は動きが遅いため、同じような所に発達した雨雲がかかり続けるおそれがある。
特に東北太平洋側で雨量が多くなりそうで、
予想される24時間降水量は多い所で12日(月)正午までに300ミリ、
13日(火)正午までに200ミリと総雨量は500ミリを超える記録的な大雨となるおそれがある。
また、きょう11日(日)夜からあす12日(月)午前にかけては
青森県、岩手県、宮城県に線状降水帯が発生し、
大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性がある。
先日大雨となった山形県や秋田県でも雨の量が多くなり、
台風が日本海に抜けたあとも動きが遅いため影響が長引くおそれがある。
大雨による土砂災害、河川の増水や氾濫、低い土地の浸水などに厳重な警戒が必要だ。
関東から西はしばらく晴れて、最高気温は35℃以上の猛暑日になる所が多くなりそう。
7日の立秋を過ぎても40℃に迫る所があるなど、危険な残暑が続く予想だ。
ただ、日本の南の海上には新たな熱帯低気圧が発生しており、
あす12日(月)夜までには複数の熱帯低気圧や温帯低気圧が発生する見通し。
現在、日本周辺の海面水温は高い状態のため、新たに台風が発生し、
週後半の天気に大きな影響を与えることも考えられる。
この先もこまめに予報を確認した方がいいだろう。
南海トラフ地震の「臨時情報(巨大地震注意)」が出る中、
古里や行楽地へ向かう人の流れが10日、ピークとなった。
帰省客らからは、家族らと防災について話し合う機会にしたいといった声が聞かれたほか、
行き先を変更した人もいた。
専門家は、帰省や旅行先など普段と違う環境の中での特有のリスクを知り、
備えを進めるよう呼びかける。
宮崎市出身という東京都大田区の会社員(32)は10日朝、高齢の両親が心配で、
予定通りの日程で宮崎空港に到着した。
「前から『南海トラフ』という言葉は聞いたことがあったが、
先日の地震で一気に現実味が増した。
防災についてしっかり考える機会にして、両親と今後のことを話し合いたい」と話した。
鹿児島市本港新町の高速船旅客ターミナルから鹿児島県の種子島に、
小学生の娘らと向かっていた鹿児島市の会社役員(53)は、
「子どもたちが海で遊ぶ際は、(地震や津波の)警戒アラートに気をつけ、
いつも以上に救命胴衣の着用を徹底させたい」と話した。
また、旅の予定を変更する人もいた。
10日に宮崎空港に到着した東京都の会社員(52)は当初、
サーフィンをする予定だったが、8日に日向灘で起きた地震を受けて、
内陸地の観光名所などを回るように変更するという。
「宮崎の波はいいと聞いて楽しみにしていたので残念だが、
もしもの時のことを考えると仕方がない。せっかく来たので宮崎を楽しみたい」
と話していた。
一方、福岡市内の介護施設に入る母に会うために、
家族と一緒に大阪府高槻市から博多駅に来た会社員男性(65)は
「再び地震が起きないか心配はあったが、急な予定の変更も難しかったので、
予定通り帰省した。安全のためにも、福岡市の市街地でゆっくり過ごしたい」
と話した。
帰省や旅行などでの防災対策について、徳島大の金井純子講師(地域防災学)は、
各自治体のハザードマップや防災アプリの活用とともに、
家族と別行動時に被災することを想定して、災害用伝言ダイヤル(171)に
メッセージを残すなど、あらかじめ安否確認方法を共有しておくことを勧める。
金井講師は「元日の能登半島地震でも分かるように、天災は人間の都合を考えてはくれない。
お盆休みという特殊なシーズンであることを踏まえて、
普段の備えにプラスした対策をとり、過ごしてほしい」と訴える。